世界遺産の登録基準

Criteria for Inscription

撮影:西山芳一

世界遺産とは「顕著な普遍的価値」を有するとみなされた資産です。次の評価基準のうち1つ以上をみたし、完全性及び真正性の条件についても満している必要があります。また、確実に保護を担保する適切な保護管理体制がなければいけません。
顕著な普遍的価値とは⋯国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び自然的な価値を意味します。そのような遺産を恒久的に保護することは国際社会全体にとって最高水準の重要性を有します。

  • 人間の創造的才能を表す傑作である。
  • 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
  • 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも稀有な存在)である。
  • 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
  • あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)。
  • 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
  • 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
  • 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
  • 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
  • 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
「世界遺産の登録基準|世界遺産活動|公益社団法人日本ユネスコ協会連盟」, <http://www.unesco.or.jp/isan/decides/>(最終閲覧日:2017年9月12日)

真正性

文化遺産の種類、その文化的文脈によって一様ではないが、資産の文化的価値(登録推薦の根拠として提示される価値基準)が、以下に示すような多様な属性における表現において真実かつ信用性を有する場合に、真正性の条件を満たしていると考えられます。

  • 形状、意匠
  • 位置、セッティング
  • 材料、材質
  • 言語その他の無形遺産
  • 用途、機能
  • 精神、感性
  • 伝統、技能、管理体制
  • その他の内部要素、外部要素

完全性

自然遺産及び/または文化遺産とそれらの特質のすべてが無傷で包含されている度合いを測るためのものさしです。したがって、完全性の条件を調べるためには、当該資産が以下の条件をどの程度満たしているかを評価する必要があります。

  • 顕著な普遍的価値が発揮されるのに必要な要素がすべて含まれているか。
  • 当該資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために適切な大きさが確保されているか。
  • 開発及び/又は管理放棄による負の影響を受けているか。

資産の保護

世界遺産に登録されているすべての資産は、適切な長期的立法措置、規制措置、制度的措置、及び/または伝統的手法による確実な「保護管理」が担保されていることを求められています。
また、その際、適切な保護範囲(境界)の設定をおこなうべきであるとされています。このため、資産を適切に保全するために必要な場合は、適切に緩衝地帯(バッファゾーン)を設定することが求められています。
日本では、世界遺産の構成資産は、文化財保護法の指定等により恒久的に保護する必要があります。

「世界遺産条約履行のための作業指針」より

暫定リスト

世界遺産条約を締約した国は、将来世界遺産リストに登録する計画のある物件を「暫定リスト」としてユネスコに提出します。事前に暫定リストに記載されていないと、世界遺産委員会へ推薦書を提出しても審査されません。なお、世界遺産リストへの推薦は、各締約国政府が責任を持って行うもので、個人や団体による推薦はありません。

国内の世界遺産暫定一覧表記載物件

平成29年7月末現在、9件(文化遺産8件、自然遺産1件)の遺産が暫定一覧表に記載されています。

資産名 記載年 都道府県
古都鎌倉の寺院・社寺ほか 平成4年 神奈川県
彦根城 平成4年 滋賀県
飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群 平成18年 奈良県
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 平成18年 長崎県
北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群 平成20年 北海道、青森県、岩手県、秋田県
金を中心とする佐渡鉱山の遺産群 平成22年 新潟県
百舌鳥・古市古墳群
―仁徳陵古墳をはじめとする巨大古墳群―
平成22年 大阪府
平泉
―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―(拡張)
平成24年 岩手県
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 平成28年 鹿児島県、沖縄県